ねりあめ屋

ねりあめ屋です。

髪を切られるのが好きだ

先日、美容院に行った。

美容師さんからは2ヶ月に一度来ることを勧められているのだけれど、いかんせん忙しくて、2ヶ月以内に行けたことはあまりない。今回も、悲しいかな、4ヶ月ぶりの予約。あまり髪に頓着はないのだが、流石に乾燥と毛量が気になりそろそろ美容院に行かねばと思っていたところ、ちょうど予定が空いた。善は急げ。予約サイトをすぐさま開き、私の髪は救われた。

 

昔から、美容院で髪を切ってもらっている間は、鏡に映る美容師さんの手元をじっと見てしまう。迷惑だったら本当に申し訳ないのだけれど、髪を梳いたり、櫛を使って見えない線を鋏で切り取ったりするその手つきの鮮やかさがとても美しくて、ついつい魅入ってしまうのだ。そんなわけで鏡をずっと見ているから、もしかすると自分の顔が好きな人だと思われているかもしれない。自身の顔はそんなに好きではないのだけれど、それはまぁ気が向いたら別の機会にでも。

カラー剤を塗られるのも好きである。髪にしてみれば異物でしかないそれをすんなりと受け入れられるようにする、美容師さんの技に感服だ。

先ほど言ったように、髪にあまり頓着はない。というか、カタログなどで髪型や髪色を見るのは好きだが、いざ自分でとなると何が似合うのかがよく分からない。何事も、自分の存在が目の端にうつると濁ってしまうような感覚がある。そんな私を知ってかどうかは定かではないけれど、美容師さんは様々な髪型を提案してくれ、似合う/似合わないの相談に乗ってくれる。その会話術たるや恐るべし。人と話すことが苦手な私からしてみると、本当に尊敬の域なのである。

「とりあえず量を減らしたくて.......若干雰囲気も変えられると嬉しいです」

「じゃあこんな感じで少しタイトにしてみますか?」

諸事情により髪を伸ばしている客のとてつもなくふんわりとした要望にも、ぴったりな提案。長い付き合いで信頼している美容師さんに全てをお任せし、私はじっとその手元を拝見する。憑き物がとれていくような晴々とした気持ち。髪には邪気が宿ると古来から言われていたりもするが、そういったことも関係しているのだろうか。

これでどうでしょう?と後ろも鏡で見せてくれるけれど、もちろん仕上がりに文句などない。ヘアオイルの柑橘系の香りも相まって気分も良い。

美容院とは何て素晴らしい場所なのだろう。

帰り道、ショーウィンドウにうつる自分に柄にもなく心が躍る。

元来毛量が多くまとめ髪にすることが多いが、当分は調子に乗って髪をおろしてみようと思った。